3P/9
 ある日主人が「なめんなよ」のガクランを着たネコのポスターを買ってきて、得意気になって見せつけた。見栄っ張りの悶太郎は、「ネコにはネコの生き方ってものがあるんだい」などとスターに成りそこねたネコの見苦しい突っ張りを見せていた。
 まったく見栄というものを知らないアホな主人は、ネコで稼ぐにゃ今しかないとばかり全財産をオモチャに替え、取っ替え引っ替え悶太郎に与え、芸を要求するのだった。しかし彼はいともたやすく主人の陰謀を見抜き、いつもの冷たいまなざしを送るのである。悶太郎の強い視線に気まずくなった主人は、「あっ、冗談冗談」などと笑ってごまかすのであった。
次ページへ